HOME>メディチ家のヴィラと庭園
今年2013年、イタリアではふたつの新しいユネスコ世界遺産登録がありました。
そのうちのひとつ『メディチ家のヴィラと庭園』Ville e Giardini Medicei にテーマを絞って、
新連載をスタートさせます。
日本でも浸透しつつある「ヴィラ」とは、別荘の意味合いです。イタリア語により近い発音ですと、
単数形は「ヴィッラ villa」、複数形は「ヴィッレ ville」になります。
ルネサンス期、トスカーナ領主となったフィレンツェ貴族のメディチ家は、郊外に邸宅を構え、
併せて庭園を造るという新しいライフスタイルを導入しました。
前回のトスカーナ小都市の連載では、主に中世の時代が色濃く残る街並みが対象でしたが、
今回はそのあとの時代、ルネサンス以降に移ります。
私は学生のときに縁があって、これらメディチ家の別荘をいくつか訪問したことがあります。
その時は正直まだ、建築の学生でしたから、山ほどある名建築や美しい広場を見るのが精いっぱいで、
郊外にあるヴィラや庭園というものへの興味が薄かったように思います。
ですが、当時すでにイタリアの南から北まで旅をして、
いろんな都市を見てきた経験をもっていた私は、こう思ったことを鮮明に覚えています。
「なぜフィレンツェの郊外には、いくつもヴィラがあるのだろう」と。
イタリアの庭園を訪れる日本人は、欧米人に比べてまだまだ圧倒的に少ないと感じています。
庭園といいますと、今の日本では園芸や農学の方が第一人者となる領域でしょうか?
けれども、イタリア・ルネサンスの庭園を主導していったのは建築家たちです。
新しくユネスコの世界遺産登録されたことを受けて、この機会にこのテーマを掘り下げることにし、
並行して旅行者の方々へ向けて連載を始めることにしました。(Powered by JAPANITALY.COM srl)
ヨーロッパのさまざまな庭園の先駆けとなるメディチ家のヴィラを、旅する形式でつづります。
2013年秋 トスカーナにて 菅澤彰子
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